ピボットポイント(pivot)による水平ラインはFXで有効なのか。

FXにおけるテクニカル分析では「指標」や「インジケーター」を使うのが一般です。

私も実際に「有効」だと思う指標を使ってテクニカル分析をしていますが、
逆に、有効だと思えないような指標やインジケーターは使っていません。

そんな私なりの基準の上で、いまいち有効性や合理性を感じられない指標が、

「ピボットポイント(pivot)」

という、以下のような「水平ライン」によって構成されるテクニカル指標です

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ピボットポイント(pivot)は国内のトレーダーの利用率は低いとされているものの、
テクニカル分析を題材にしているサイトの多くでは「有効性が高い」と言われています。

この記事では、そんな「ピボットポイント(pivot)」について、
その具体的な「ロジック」や「計算式」などを解説していくと共に、

「私がその有効性や合理性を感じられない理由」

を併せて解説していきたいと思います。

***

テクニカル分析におけるテクニカル指標やインジケーターは、
その背景にある「理論」に有効性や合理性を感じられるかどうかを重視し、
その上で「使う」「使わない」を判断していく必要があります。

その重要性については以下の記事で解説していますので併せて参考にしてください。

↓↓↓

テクニカル指標,インジケーターは理論や計算式が「最重要」


ピボットポイント(pivot)による水平ラインはFXで有効なのか。

私が「ピボット(pivot)」に対して有効性、合理性を感じない理由としては、
 ・計算式の合理性がいまいちよく分からない(見えてこない)
 ・理論的な背景にも優位性や合理性を感じらない
 ・チャート上でも、いまいち意識されているようには感じられない

このような3点で、私としては、全くピンと来ない指標という感じでした。

ですが、テクニカル分析を題材としているサイトなどでは、

「ピポッドポイントは非常に重要で世界中のトレーダーが意識している。」

というように、ピポッドポイントの有効性を支持している傾向にあります。

とは言え、そのようなサイトを運営している人が「ピポッド」を表示させて、
実際のテクニカル分析やトレードを行っているかどうかは定かではありません。



とくにそういったサイトで公開されている情報(記事)の多くは、
どこかの本や別のサイトなどに書いてあった内容に「右へならえ」で、
ほぼ同じような内容が記事ネタの1つとして公開されているに過ぎないからです。

よって、そのようなサイトに書かれている情報が必ずしも正しいとは限りません。

ですが、実際にピボットポイント(pivot)は、

 ・パラメーター設定などによる差異がない
 ・故に全てのトレーダーが同じ位置で同じ指標を意識する形になる

このようなロジックが前提となっているため、
そこが「優位性」や「有効性」の要因の1つとされています。

要するに、移動平均線を筆頭とする「平均指標」のような、

「○日間、ローソク足何本を対象とする計算で指標を表示させるのか」

というような「対象期間」を設定するようなロジックではないため、
実際に表示される「ピボット(pivot)」の指標は常に一律されるわけです。

その上で、その具体的な計算式は、
 ピボットポイント(pivot)=「前日安値+前日高値+前日終値」÷3
このような前日のレートで最も高かったレート(高値)と安かったレート(安値)、
そこに前日の終値を加えて3で割る(平均化する)というシンプルな計算式で、
この計算式によって求められた値が以下の「P(ピボット)」にあたります。

↓↓↓



ピボットポイント(pivot)は、上記の計算式に基づいた値に水平ラインが表示され、
その上下に「R1」「R2」と「S1」「S2」という表記のラインが表示されます。

以下、その上下に表示され「R1」「R2」「S1」「S2」のラインの計算式です。
 R1(レジスタンス1) =(PP x 2)- 前日安値
 R2(レジスタンス2) = PP +(前日高値-前日安値)

 S1(サポート1) =(PP x 2)- 前日高値
 S2(サポート2) = PP -(前日高値-前日安値)

ご覧の通り、上記の計算式にはいずれも「ピボット」の値が用いられているため、
ピボットポイントが前日の高値、安値、終値から算出される数値になっている以上、

・ピボットポイントの値
・その上下に表示されるR1、R2、S1、S2の値


これらの値とそれに伴う水平ラインは全て1日ごとに更新されていく形になります。

↓↓↓



上記のチャート画像でピボットの表示が各日付の変わり目とズレているのは、
ピボットポイントの「前日レート」の境目がニューヨーク時間になっているためで、
ピボットにおける1日の境目はNY時間の17時、日本時間の9時が一般的らしいです。
(私の利用しているチャートソフトの設定も、そのようになっていました。)

このような計算式に基づいて引かれたピボットポイントとその上下の各ラインが、
相場(値動き)の推移を予測する重要な指針になると言われているわけです。


ピボットポイント(pivot)の計算式とそのロジック。

ピボットポイント(pivot)の計算式は上記で解説した通りなのですが、
計算式は非常にシンプルなものの、そのシンプルな計算式の意図や意味は、

「いまいちよく分からない」

というのが率直なところかと思います。

それこそ前日の「終値」や「安値」「高値」などが意識される理屈などについては、
実際にチャートを見てているトレーダー達の心理背景も含めて理解できると思います。

ですが、これらを「平均」した値の意味や合理性は、やはりよく分からないと思いますし、
実際のトレードでそれらを平均した値を強いて意識するような事もまず無いはずです。

それこそ、

「終値と安値と高値を平均した値がピボットという重要な指標になんですよ。」

と言われでもしない限り、まず気にする事さえない数値です。

現に、高値、安値、終値を「平均」する事の意味や合理性については、
ピボットポイントについてのどんな資料やサイトを見ても、

「ピボットポイント(pivot)の計算式はこのようになっている」

という説明のみで、その値にどの意味や合理性があるのかは言及されていませんでした。
ただ「終値、安値、高値を平均した値など気にも留めない」という実情がある通り、
ピボットポイント(pivot)の数値そのものに大きな意味があるわけないようです。

それこそピボットポイント(pivot)という指標そのものが有名になり、
数多くのトレーダーが実際に意識していくようになっていった事で、
結果的にピボットの数値が意識されるようになっている背景はあるかもしれません。



ですが、本質的な部分を言えばピボットポイント(pivot)というテクニカル指標は、
ピボットポイント(pivot)の値そのものに大きな意味があるものでなく、
その値を用いて算出された上下の「レジスタンス」と「サポート」の値にこそ意味があります。

要するにピボットポイント(pivot)というテクニカル指標は、
強いてピボットポイントの値だけを捉えてどうこうという指標ではなく、

「その上下のレジスタンス、サポ―トのラインを含めて捉える指標」

という事です。


ピボットはその上下のレジスタンスとサポートの5本線に意味がある?

とは言え、ピボットポイント(pivot)の5本線の主軸となっている
 ピボットポイント(pivot)=「前日安値+前日高値+前日終値」÷3
この値の意味や合理性の根本が見てこない以上、その上下における、
 R1(レジスタンス1) =(PP x 2)- 前日安値
 R2(レジスタンス2) = PP +(前日高値-前日安値)

 S1(サポート1) =(PP x 2)- 前日高値
 S2(サポート2) = PP -(前日高値-前日安値)

これらのラインの意味や合理性も、やはり見えてこないのが実情です。

安値、高値、終値を平均した数値を2倍する意味、そこから安値、高値を差し引く意味、
そのピボットポイントの値に高値から安値を差し引いた金額を足す意味、引く意味・・・。

どの計算式も、何1つ「理論的な合理性」が見えてこないのが実情で、
どんな資料や情報源を目にしても、この辺りの「論理」は不透明でした。

もちろん、テクニカル指標は「統計分析の指針」であると同時に、

「それ自体が統計的な傾向を作り出す要因にもなる」

という現実がある以上、例え、その計算式に何の合理性が伴っていなくとも、
その指標に沿って多くの人が売買を行っていく傾向が強くなっていけば、
結果論として、その指標が有効な指針になっていく事もありえます。



ですが、そのような有効性は、

「その指標を指針とするトレーダーが数多く存在し続ける事」

が前提となるため、指標そのものの流行などで有効性が薄れるケースや、
根本的に有効ではなくなる可能性なども否定できません。

よって、私はその指標自体に統計分析の観点で合理的な有効性が伴い、
その理論の合理性に自分自身が納得できる指標のみを使うようにしています。

その観点で言うと「ピボットポイント(pivot)」に関しては、

「私には全くその計算式やロジックに合理性を感じられなかった」

という事です。

***

以下、実際にピボットポイント(pivot)を表示させた、

・BTC/JPY(ビットコインレート)
・USD/JPY(ドル円レート)


のここ数日のチャートになりますが、ピボットポイント(pivot)はもとより、
その上下の「レジスタンス」「サポート」の各ライン(上下の4本線)が、
そこまで「意識されている」という傾向は、私にはいまいちピンと来ません。

↓↓↓





計算式のロジック上、相場がこの範囲にある程度、納まるのは当然として、
それでも、この範囲を抜けている事も普通にありますし、それぞれのラインが、
支持線(サポート)、抵抗線(レジスタンス)になっている印象も受けないです。

また、ピボットポイント(pivot)に関して、

「他のテクニカル指標と組み合わせる事で有効な指標になる」

という文献も幾つか見ましたが、私のテクニカル分析の観点で言うと、

『本当に有効な指標は、それだけで十分に有効な指針にになる』

と考えているため、何か別の指標と組み合わせなければならない時点で、
そのようなテクニカル指標は、そもそも「有効性が薄い」としか思えません。

よって、私は単一利用で十分な有効性を発揮できる指標だけを使いたいですし、
その指標による売買のみを一貫して行う事でリターンを追及したいため、

「別の指標と組み合わせなければ使い物にならない(有効性が薄い)」

という事が前提なのであれば、その時点で私としては「無し」な指標なわけです。

もちろん、このピボットポイント(pivot)の相場の推移に何らかの傾向を見つけ出し、
それを有効なロジックにしてトレードを行えている人もいるのだと思いますが、
 ・その計算式やロジックに理論的な合理性があるかどうか
 ・実際のチャートに単一で表示させた際に有効性を確認できるかどうか
基本的に、テクニカル指標はこのような視点で実用の有無を判断するべきだと思います。

どこかのサイトや情報商材などに書いてあった情報をそのまま真に受けるのではなく、
その合理性や有効性を自分自身で判断していく必要があるという事です。

冒頭でもご紹介したこちらの記事と併せて、是非、参考にしてください。

↓↓↓

テクニカル指標,インジケーターは理論や計算式が「最重要」



以上、ピボットポイント(pivot)の計算式とロジックについてと、

「私がピボットポイント(pivot)を指針にしていない理由」

についてでした。

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