大数の法則の確率論。FXのトレード勝率には「偏り」がある。
トレードの「勝率」はトレードの回数を重ねていくほど、
いわゆる「大数の法則」から、その勝率の信憑性が高くなります。
逆に、トレードの回数が少ない段階の勝率は、あまりアテになりません。
だからこそ、有効なトレードルールのロジックを追及していく場合には、
まずは、過去のチャートを対象とする「バックテスト」を行い、
「過去の相場を対象とするバックテストでどれくらいの勝率を実現できているか」
という視点で、過去数年のチャートを対象とする「勝率」を概算します。
ただ、どんなに長期間、および多くのトレード回数を前提とするバックテストで、
そのトレードルールのロジックにおける「勝率」を概算したとしても、
その勝率は過去の相場を対象とする「概算」および「理論値」でしかありません。
よって、そのトレードルールを前提に「トレード」を行っていく上で、
その勝率を過信した資金管理やリスク管理を行う事は非常に危険であり、
それがあくまでも「理論値」である事を前提にトレードを行う必要があります。
ここでは、そんな「大数の法則における確率論の偏り」について解説していきます。
大数の法則の確率論とFXのトレード勝率における「偏り」について
可能な限り、長期間のチャートを対象に十分な回数のバックテストを行えば、過去の値動きに「帳尻」を合わせて強引に作り上げていったような
いわゆる「カーブフィッティングを過剰に施したルール」ではない限り、
そのバックテストの上で概算した勝率には一定の信憑性はあると考えられます。
上記で言及したような「過去の値動き」に帳尻を合わせて作り上げた いわゆる「カーブフィッティングを施したトレードルール」では、 バックテストの結果が、まず間違いなく実際の相場では「再現」されません。 その理由などは以下の記事で詳しく解説していますので併せて参考にしてください。 >カーブフィッティングを施したトレードルールでは勝てない理由 |
ですが、その「勝率」にどんなに信憑性があったとしても、
それが「理論値」である以上、その理論値が「再現」されていくには、
やはり「大数の法則」を前提とするトレードの「継続」が不可欠となります。
つまり、それなりの「トレード」を継続的に繰り返していかない事には、
その「理論値」として概算できた勝率は、実質的に「再現できない」という事です。
そこで重要となる視点で「トレードを継続的に行う事」を前提とする、
・資金管理 ・リスク管理 |
その上で、どれくらいのリスク(損失)を見込んでいくのか。
これらを概算上の「勝率」に対する「損益比率(リスクリワード)」から、
十分な回数のトレードを継続して行えるように算出する必要があります。
例えば勝率が90%という、かなりの高確率で「勝てるロジック」でも、
10回に1回、10%に相当する確率で「負ける」ということがある以上、
一度の「負け」で資金の大半を失ってしまうようなトレードを行うべきではありません。
そもそも「トレード」は投じていく資金によってリターンも変わってくるため、
・勝てたトレードに伴うリターン(利益) ・負けたトレードに伴うリスク(損失) |
トレードごとに投じていく資金の金額を大きくしたり、小さくしたりしてしまうと、
仮に「勝率」の方を理論値の通りに実現していく事ができていったとしても、
・小さく資金を投じた時には勝てている
・大きく資金を投じた時に限って大きく負けてしまう
という状況に陥ってしまうと、これはトレードルールの有効性や勝率云々ではなく、
そのルールに沿ったトレード内の「運の良し悪し」で損益や勝ち負けが変わってきます。
トレードは決して「ギャンブル」ではありませんので、
その勝ち負けや損益を「運」に任せるべきではありません。
有効なトレードルールに基づいて勝つべくして勝ち続ける事、
稼ぐべくして稼ぎ続ける事に重きを置いてこその「トレーダー」ですから、
決して勝ち負けが運に左右されない資金管理、リスク管理を徹底する必要があるわけです。
「大数の法則の実現」を前提とする資金管理とリスク管理の徹底。
また「大数の法則の実現」を前提とする資金管理、リスク管理には、その途中経過における「確率の偏り」も併せて意識する必要があります。
例えば十分な期間と回数によって概算した勝率が60%ほどのトレードルールで、
その損益比率(リスクリワード)が1:1というロジックだった場合、
「大数の法則を前提とする上では十分な有効性が伴うトレードルール」
と判断する事ができます。
ですが「トレード」における『勝率60%』という数字は、
・当たりクジが6つ、外れクジが4つ、計10本のクジ引き ・当たりクジが60、外れクジが40、計100本のクジ引き |
この場合、クジの中には明らかに「アタリくじ」が多く入っているわけですが、
それでも4割は「ハズレくじ」となってるため、常に「ハズレ」を引く可能性もあります。
また、4割がハズレくじであれば、2連続、3連続、4連続・・・と、
それなりの数を連続する形で「ハズレ」を引く可能性も現実的に考えられるわけです。
まさに、それは「運」の範疇の話にもなってしまうのですが、
現実的な「リスク」として、概算した勝率が6割だったとしても、
「4割の負ける確率があるトレードルール」
では、長期的にそのルールに基づくトレードを継続して行っていけば、
その確率(勝率)が一時的に偏っていく事は現実的に「ありえる話」です。
それが現実にありえる以上、その確率や可能性も「想定」する必要があり、
トレードにおける資金管理、リスク管理は、それを前提に行う必要があります。
仮に先ほど例に挙げた、
・トレード勝率が60% ・損益比率が1:1 |
「常に資金の10%のリスクリワードを前提にトレードを行う」
という資金配分でトレードを行っていった場合に5連敗以上の連敗が続けば、
その時点で資金の半分近くから、それ以上を失ってしまう事になります。
一見、一度のトレードにおけるリスクが「資金の10%」というのは、
そこまで高いリスクを背負っているようには感じられないかもしれませんし、
『同等のリターンと5割以上の勝率があるなら割に合わない勝負ではない』
このように考えるトレーダーも決して少なくはないと思います。
ですが、勝率が6割ほどのトレードルールでは「勝率(運)の偏り」によって、
確率的には、決して高くはないような「連敗」を繰り返す事も現実的にありえます。
投資やトレードは『元手(資金)』こそが「全て」であり、
その『元手(資金)』こそが実際のリターンの大小を左右していくため、
『資金の大半を失ってしまう可能性や確率は限りなくゼロに近づける』
という事の「徹底」が極めて重要な視点に他ならないという事です。
あなたのトレードは「リスク管理」を徹底できていますか?
FXやバイナリーオプションなどの「情報商材」のノウハウやツールなどでは、それこそ、勝率が6割前後や損益比率が同比率のロジックを対象に、
資金の10%以上のリスクを抱えるようなノウハウが横行しています。
情報商材を売る側としては、可能な限り「短期間」で、
出来るだけ「大きなリターン」を実現できるノウハウを装いため、
「これくらいの期間で、これくらい稼げるノウハウ(ツール)です」
というパフォーマンスを「現実的なリスク」をほぼ度外視して、
まさに「理論値」のみを最大化して公開しているわけです。
ただ、現実のトレードを「長期的」に継続して行っていけば、
理論値の上で、どんなに高い勝率を実現できているルールであっても、
勝率(運)の偏りが生じて負けトレードが続く可能性があります。
よって、その「確率論」の上で実際にトレードを行っていく場合には、
常に「最悪の可能性」を想定した資金管理とリスク管理を踏まえた上で、
「どんなに確率(勝率)が偏っても資金がショートしないリスクヘッジ」
を徹底していく必要があるという事です。
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以上、FXにおける「大数の法則」に伴う現実的な「確率論の偏り」と、
それを想定したトレードや資金管理の注意点についてでした。
是非、参考にしてください。
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